もっともらしくない!!

早期退職したアラ還。毎日が発見!周りのものを大切に愛をもって暮らしていく中で気づいたことや考えたことを書いています。

(再掲)本の感想「クマにあったらどうするか アイヌ民族最後の狩人姉崎等」

 今週のお題「運動不足」

(既に読ませた方は、中身は全く変わっていません。事情があって、載せなおすものです。)

歩いています。犬の散歩で一日13,000歩ぐらい。遠出したときは20,000歩ぐらい。肩こりはしないし、最近腰痛にもいい歩き方を心掛けているし。体型キープどころか、ダイエットになっているかも。

ところで、昨年から熱心に犬を同伴に歩いているのは、山歩きがしたいから。山歩きはしたいが仲間はいないので、ツアーに参加して歩こうと考えていました。迷惑はかけたくない、自主トレとしてのウォーキングであり、坂や階段も上り下りしています。重いリュックを背負うを尚いいかも。(でも、そこまではしていません。)

昨年、たまたま上高地を旅行し、少し山を歩いたことで、山へのあこがれはより強くなりました。

その上高地でクマの目撃情報の紙があちこちに張ってあり、クマが出るんだなあ、怖いなあと思っていました。

「クマにあったらどうするかアイヌ民族最後の狩人姉崎等」
   語り手・姉崎等 聞き書き・片山龍峯

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で、家に帰ってこの本を読み直しました。なぜこの本を買っていたのかは不明。もやっと興味があったのだとは思います。

この本で、アイヌの狩人姉崎さんはこう言います。

☆☆☆クマにあったら逃げない、背中を見せない、「ウォー」と声を出す(相手を圧倒する気勢を見せる。相手より弱いと思わせない、目をそらせない。

クマは肉食動物ではないので最初から人間を襲う動物ではない。人間が近付くのを嫌って襲ってくる。

ふつうはクマは人間を強いものを思っている。ただ一旦人間を襲ってしまったクマはもう人を恐れない。弱いもの、食料としてみてしまう。そしてまた襲おうとしてしまう。☆☆☆

 実際問題としては、私がもしクマにあったら、逃げない勇気はありそうもなく、バタバタしてしてクマの機嫌を損ねてやられてしまうだろう。もしかしたら、私の他の生命に対する敬意と友好的な雰囲気を理解して襲ってこないかもとなど想像したのでした。

その時以来、人間が恐れているが排除できない、いいかえれば共存するしかないものの代表としてクマを漠然と認識することになりました。

わたしのクマに対する記憶は、うちの子どもが小さい時に行った熊本のクマ牧場のイメージでした。たくさんのクマが檻に入れられていて、人間が投げる食べ物をキャッチしようと両手を挙げていました。その時は「体は大きいがバカだ。全く知性が感じられない。」と思ったのですが、それはクマに対して失礼でした。申し訳ありませんでした。あのクマたちは檻の中でクマの尊厳をはく奪されていた。今はそう思っています。

私のクマに対する考察は、この本と少しかじったアイヌの風習とNHKの「ヒグマを叱る男〜完全版36年の記録〜」が主な材料です。

これらによって勝手にクマへの共感が広がっています。

姉崎さんはこう言います。「クマは私の師匠。」姉崎さんは山の中でクマが通った跡なら人間も通れるはずだと山を歩き、山の地形を覚えていったそうです。

 アイヌはクマの狩猟が生活に必要だったので、クマの狩猟はします。しかし常にクマを山の神として敬意をもって接しています。殺しても、クマの尊厳を保って、儀式を行い、あの世に送り出します。(カムイホプニレ)「クマを撃ちに行くことはクマを招待すること。」というのがアイヌの考え方だそうです。(これは人間サイドの見方であって、クマとしてはやはり長生きしたいと思っているとも思います。)

そして、クマはとても賢い生き物だと言います。記憶力・判断力は優れている。また、「遊ぶ」ということも知っていて、冬眠から覚めてすぐ子熊が遊ぶために滑り台や階段を作ったりもするのだそうです。


一方、NHKの「ヒグマを叱る男」の大瀬初三郎(おおせ・はつさぶろう)さんは今年84歳。青森出身でアイヌではありません。世界自然遺産の知床の奥地のヒグマの密集地帯で、半世紀以上サケやマスをとってきた漁師で、クマが数メートル先にいても平然と作業が続けらるようなクマとの関係を持っています。クマも平然としているようです。さすがに、夜の寝所には電気柵をめぐらすようです。
大瀬さんはサケやマスを獲る漁師なので、クマは獲らない。クマが近付いてきたら、叱って(クマに向かって大きな声を出す)、お互い安全な距離を保っている。
その「叱る」という手法は、アイヌの狩人姉崎さんと同じことです。人間が強いことをアピールしている。そして、絶対食べ物をやらない。人間はクマの食べ物とは関係のない存在だとクマに伝えているのです。

姉崎さんたちアイヌも大瀬さんも、クマとの距離の取り方が同じです。人間とクマはお互い相手を恐れている。お互いを尊重しつつも関りを持たずに生きていくことが共存の方法であるという考え方です。
 これを多くの人が実践するためには、具体的には、人間が、クマが暮らしやすいように山を保全していくことが必要だし、登山者が食べ残しを不用意に置いて行ったりしないことも重要です。

そして、クマとの正しい付き合い方を伝える人が必要です。姉崎さんや大瀬さんを継承する人がいるのかどうか気になります。だって、クマを恐れないで付き合うには、経験・実績が必要で、時間がかかると思うのです。

途中にも書きましたが、わたしがクマにこだわるのは、人とその他の存在の良好な関係性を維持する事例だからです。強くて怖いからクマは無視したり踏みにじったりできないので、人間はクマとの関係を考えざるを得ません。

そして、クマとの関係を考えることは、ほかの存在との関係においてもおおいに参考になると思うのです。