ヴィスコンティの映画「山猫」 感想 犬のこと 猫は・・・登場するのでしょうか?
きょうは、ヴィスコンティの「山猫」についてです。
NHKのBSでは地味にいい映画をやっているが、事前チェックしていないので見逃すことが多い。
先日、煮物をするのに寂しいのでテレビを付けたら、ヴィスコンティの「山猫」をやっていた。
チラ見しながら料理を作っていたが、犬があまりに魅力的だと思って、途中から録画した。
最近、映画やテレビに出る犬は、それ用に訓練されて芸能プロダクションみたいなところに登録された犬が使われているというじゃないですか。
驚異的に演技もうまくて。
ところが、このヴィスコンティの「山猫」ではさすがにそういう訓練はされていないだろうと思わせる素人っぽい犬が出ていて素敵だった。
犬と猫のお話はあとでゆっくり。
まずは全体的は感想から。
「山猫」、たぶん40年ぶりに見た。前の時は映画館で見て、すごい映画だとは思ったけど、おもしろいとは思わなかった。後半の舞踏会シーンの時はウトウトしたような・・・
しかし、
今回、たまたまテレビをつけた時は最初の1時間ぐらい終わっていたので、全部は見ていないが、おもしろかった。
映像のどのカットも見せた。
セリフも、そのセリフで伝えたいことがよくわかった。
長いと言われる舞踏会シーンも、どのシーンもヴィスコンティが伝えたいものが伝わってくる。(と勝手に思った。)
録画したものを集中して舐めるように見てしまった。
この映画で最も印象的なのは、クラウディア・カルディナーレ演じるアンジェリカの生き生きとした魅力。貴族でない、庶民の持つエネルギーを体現。
下品な大笑いのシーンはすばらしい。あのシーンだけで、クラウディア・カルディナーレは歴史に残る。
アラン・ドロンも野心はあるがどこか大人物ではない、だけど人を惹きつける若者のパワーが爆発!!
アラン・ドロンは同じくヴィスコンティの「若者のすべて」でもいい役していた。
ニーノ・ロータの音楽もいいし、舞踏会シーンの音楽も聴きいってしまいました。
全部ゆっくり見たいなあ・・・
iTunesでは見れるようだ。
さて、犬のお話。
一緒に狩りをする知人の犬2匹。
録画する前のシーンでは、人が話している時、後ろで土を掘り掘りしたりして、本当の猟犬って感じ。
街や草原など外を歩く時、主人公とこの知人はよく一緒にいて、いつも犬を連れています。
自然体です。
ちょっと薄汚れている感じで、アウトドアの犬感満載。野性味がある。
もう1匹、犬が登場します。
主人公のお屋敷に住んでいる犬。
人の間で後足で立っている黒い物体です。
上の猟犬と比べて家族度が高い。
屋敷の中を自由に過ごしているようです。
この犬は人間そのもの、それも貴族のような美しく優雅な感じ。野性味ゼロ。
グレートデーンでしょうか?
舞踏会の途中で主人公が絵を見て、自分の死について考えるシーンがあります。
絵の右下に犬がいます。
ジャン・バティスト・グルーズの「罰せられた息子」という絵です。
ルーブル美術館にあります。
しかし、わたし、どっかで見たことあるんですよね。
なにかの美術展で来日していたのか?本かテレビで見たのか?
この犬は死の場面から逃げてます。
ずっと見ていて猫が出てこないと思っていました。(すみません。前半では出てくるかもしれません。)
タイトル「山猫」は主人公の公爵家の紋章。
ずっと猫を探していました。
いました。
ラスト1分で猫が出てきました。
野良ちゃん。ただ出てきて、主人公と関わることなく、路地の陰に逃げていきました。
ヴィスコンティの映像で、たまたま出てきたはずないと思うんです。
深い意図があると思うんです。
主人公と猫が触れ合わず、猫が去っていくことが、この時の主人公の貴族性との精神的な別れというか距離感を出しているような気がします。
そういえば、犬はいつも一緒にいるものですが、絵の死の場面では犬は逃げていましたね。
・・・
昔は少し退屈だったヴィスコンティが細部まで面白いです。この1年以内に、やはりテレビで「ベニスに死す」を見ましたが、その時も見入ってしましました。
歳をとったという一言に尽きると思います。死が近付いてわかること・・・?
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