民族問題を理解する道のりは果てしない。
図書館に行って本を借りるマイブームは続いていて、最近借りたものに次の2冊が含まれていた。
バルトロメイはウイーンフィルで長く首席チェリストだった方。数年前宮崎でもコンサートがあったが、あいにく私は行けていない。
ウイーンフィルらしい音色やリズム感のことを知りたくて借りたのだが、予想外に考えさせられたのが、民族問題。
バルトロメイは祖父がチェコからウイーンに来てウイーンフィルに入り、以後家族はウイーンで暮らしている。
チェコ・ウイーン・ウイーンフィルの国外活動などいろいろな歴史と人々の生活が描かれていたが、ざっくりいうと、ヨーロッパに住んでいる人々の根底にたいへん深く民族の問題が横たわっていることに気づき当惑した。
一口でヨーロッパといっても、様々な民族がいて、様々な言語を話し、国という概念も歴史の中で複雑な動きをしている。
それは頭の中ではあやふやながらわかっていたツモリだが、これを読むと、「生きることイコール民族問題に対処する」なのだと感じた。
それも複雑な・・・
たとえば、チェコ。20世紀初頭。
チェコ語を話す人、ドイツ語に親和性のある人、またユダヤ系の人、ロマの人など、それぞれ歴史的民族的背景を持って生きていた。
チェコの文学者としては、カフカとチャペック、クンデラがいて、音楽系ではスメタナ、ドボルザークがいる。
それぞれが自らの出自・アイデンティティーをもって活動している。
ウイーンも各地から人が流入しており、多民族が暮らしている。第2次世界大戦以降はナチとどうかかわっていたのか、という問題も出自に加わっている。
こういう状態は日本・宮崎に住んでいる私は、まったくなじめない。そういうこともあるんだろうなとは思うけど、発想の原点には決してならない。
アイヌについて興味はあって、言語を含むアイヌ文化を大事にしたいと思うけど、それって感覚じゃなくて、理屈で思っているんですよ。
文学や音楽や政治的活動に触れるときに、私に欠落している、この民族的問題について理解できなくても一応知ることは外せないと、この本を読んで強く認識したのです。
一方、新疆ウイグル自治区の本は、新疆ウイグル自治区問題の全体像を理解したくて借りました。
長い歴史の中でウイグル人が周囲の地域や民族とどう関わってきたのか。
そこで、少数民族の中で、なぜウイグルのことが世界的に大きな問題になっているのか。
中央アジアには昔からたくさんの民族と小国があり、中国とソ連(ロシア)という大国との関係で複雑な状況があります。
新疆ウイグル自治区は中国国土の六分の一を占める広大な地域でありで中国内部で重要視され様々な経済施策がなされてきた。またウイグル人のほとんどはイスラム教徒であり、言語や文化が著しく違っていた。
近年世界的なイスラム原理主義者のテロが増える中、ウイグル人の経済的・民族的不満からいろいろと事件が起き、その流れの中で、中国共産党によるウイグル人の管理が厳重で人権的配慮のないものになっていく過程がわかりました。
中国共産党はどの民族であっても体制反対者には強い弾圧を行っている(と思うんです)が、その弾圧を新疆ウイグル自治区で大々的にやっているから目立ったいるということだと思います。
まあ問題の「職業技能教育訓練センター」のようなものが各地にあるのかどうかはわかりません。しかし、国単位ではそんなものがいっぱいあって、体制反対者はそこに送られている人も多いのでは?
自らの言語や宗教といった文化を変えたくないと思った経験はワタシにはないわけです。なので感覚的にはわからなくて、想像の世界でしかない。
だからこそ、そういう自らのアイデンティティーを維持することが難しい人々のことを、できるだけ知って理解して、できることがあれば応援したいと思います。
ウクライナとロシアの問題も、日本人が報道で知っていることより深い複雑な歴史的、民族的問題があって、そこがよくわからないので、表面的に「戦争をやめよう」というしかないのです。
「民族」というのは現在の世界でもとても重要なものである。
そこが感覚的なわからないワタシ、そして、たぶん多くの日本人は、努めて、民族問題を知っていくことが必要と改めて思った次第です。
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