もっともらしくない!!

早期退職したアラ還。毎日が発見!周りのものを大切に愛をもって暮らしていく中で気づいたことや考えたことを書いています。

「隠蔽捜査」シリーズにハマった9月

今週のお題「最近おもしろかった本」

 

9月は、ふと手にした(といっても電子書籍ですが)今野敏の「隠蔽捜査」シリーズを読みまくりました。

 

 

長編9つ、短編集2つ、短編2つです。

ジャンルでいうと警察捜査ものです。

つい読んでしまったのは、主人公のキャラクターによるところが大きい。

東大法学部卒の40代の警察のキャリア官僚です。

出世したいと思っています。

物事を解決するには原理原則が最重要で、人の感情や思惑には動かされません。

これだけだと、すごく嫌味な感じがすると思うのです。

が、すごく好人物なのです。

・・・

出世したいのは、公務員は国民がよりよい生活を過ごすために働くものであり、出世すれば自分が担える権限が増え、できることが多くなるからで、「偉くなる」ことには興味はありません。

権限が大きくなれば、責任も増えるので、自分が決めたことはしっかりと責任を取る覚悟があります。

警察組織の秩序は重要だとは思っていますが、偉い人の指示に盲従したり、忖度することはありません。

どんな偉い人にでも間違っていると思うことは、そう言い、強硬に命令されても従いません。

逆に自分にはない知識や技術のある人については、その判断を尊重するし、自分より地位が低い人が言うことであっても、きちんと聞き、自分の判断の参考にします。

 

シリーズタイトルの「隠蔽捜査」についていえば、主人公は隠蔽はきらいです。事実は明らかにして、それにどう対処するかが重要だと考えています。隠しても隠しきれることはない。さらに、警察での不祥事を含め事実をできるかぎりオープンにすることは、国民の知る権利に鑑みて必要だと考えています。

 

妻と二人の子供がいて、家庭のことは妻にまかせっきり。自分ではコーヒーフィルターがどこにあるかもわからず、お風呂にスイッチの入れ方もわからない。

息子には東大に行ってほしくて浪人させている一方、娘の進路には興味はない。

ジェンダー的にも一見問題があるように見えます。

ところが、読み進めていくと、全く気にならなくなってくる。

最初は息子に東大入学を無理強いさせていたが、(いろいろあって結局東大には行くのだが・・・)息子の進路については、自分のやりたいことを精いっぱい努力して進むようにというスタンスである。

娘も就職活動後、広告代理店に就職するのだが、彼女を男女関係なく一人の人間として、よく生きられるよう配慮している。

妻も専業主婦であるが、対等なパートナーであり、たまたま専業主婦なだけで、何かのきっかけで、彼女が積極的に外で活動したいといえば、それが実現できるよう行動や生活を変えられる人に思える。

 

キャリア・ノンキャリアの思惑渦巻く警察で立ち回る主人公が、絶妙な行動や発言で、とても気持ちのいい人に思えるのです。

原点は原理原則。感情は考慮しない。変人で融通の利かないキャラクターですが、その潔さが共感を得ます。

シリーズ最初に息子のヘロイン摂取が発覚しますが、それも隠さず自首させ、結果として、降格人事で所轄の署長となります。

そこで、それまでは重視していなかった「信頼関係」というものの力に気づき(妻から「署があなたを成長させた」と言わせている。)、他の警察関係者と一緒に事件を解決していく展開となります。

文章の中で垣間見える主人公のその時々の考えが新鮮に感じます。

こういうキャラクターとは出会ったことがありません。

私自身、偉い人に従うことや、忖度すること、空気を読むことは、したくないので共感する部分があるのだと思います。

しかし、このシリーズが多くの人に読まれているのは、私だけでなく、組織の中で偉い人に従わざるを得ない多くの人が、この主人公のような生き方がしたいんだろうなと思うのです。

ある種のユートピア小説であります。

シリーズ最新刊2巻では、降格人事の「禊」が終わり、神奈川県警の刑事部長での犯罪捜査となっています。

署長の時は、上に立てつく感が強く痛快でした。県警の刑事部長として、小説がどうおもしろく展開されるのか、工夫がないとおもしろさが減る不安があります。

むしろ、とっとと、警視総監や警察庁のチョーお偉方になった主人公の活躍が楽しみです。

 

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